キメラ行動

黒月樹人 (KULOTSUKI Kinohito)

 キメラ行動とは、2種以上の異なるミームからコントロールされた、相反するような行動のこと。異なるミームは2種とは限らなくて、3種以上のときもあるのだが、まずは、分かりやすい2種の場合から説明しよう。

 たとえば、エピローグ4において、支局長(キメラサウルス・ユーラキョウ)は、ブラックタフのことを「オマエはよけいなことを言うから嫌いだ」と、嫌悪のミームの支配下にあるが、何匹かに誘いをかけたものの、どの一匹からもよい返事をもらえなくて、一匹で昼食をとらなくなってしまったとき、ブラックタフに(それしか話題がないのだからしかたがないが)仕事の件でケータイをかけているのは、「オマエしか話し相手がいないからトモダチになってくれ」と暗に言っているようなもので、明らかに好意のミームに支配されている。このように、通常では相反するミームを、時系列的にラグがあるとはいうものの、共存させて、それらの支配のもとでの行動を、何の疑問もなく受け入れている。

 3種以上のミームによるキメラ行動の例は、ジタン・プランクネットの行動に見られる。本文で紹介した例において、ジタンの行動パターンは、キメラサウルス・ユーラキョウに対するときに支配されるミームと、コリアンダーに対するときに支配されるミームと、スッポニアやミジンコに対するときに支配されるミームとで、驚くばかりの異なる様相を見せている。これらの具体例については、(読者の)研究課題としよう。

「天国にいちばん近い町」のリストへ戻る
黒月樹人(treeman9621.com)「天国にいちばん近い町」より