物理経済学体制

黒月樹人 (KULOTSUKI Kinohito)

 「物理経済学」という用語は無い。あるのは「経済物理学」である。最近急に発展してきた。まず数学の分野で、それまでより自由に、かつ広く応用できる、解析的手法が発展し、それが、まず物理学に適用され、この学門に対する視点を変えてしまい、このときに発展した手法が、経済学という幻のようなミームの調査にも適用できるということが気づかれたのだ。それまでの経済学は、数学で線形方程式しか取り扱わなかった時代のように、理想状態の考察で理解できることだけを理解しようとしていたのである。ところが、このような枠組みをとりはらってみれば、物理学も、経済学も、まだまだ未知のミームを隠して培養していたということが分かりだしたということなのだ。このあたりの状況は、微生物学の進歩のパターンと似ている。昔は古細菌なぞいないと思われていたし、生化学上の常識を超えるような細菌なぞ、どこにもいないと思われていたのに、何らかのミームが変化して、はっと気がついて探してみれば、細菌もミームも、うじゃうじゃと現れだしたのである。それらは、ほんとうに現れたのだろうか。違う。われわれシナモンたちの、能力が不足していたために、単に見なかった(見えなかった)だけのことである。

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黒月樹人(treeman9621.com)「天国にいちばん近い町」より