黒月樹人闘病記(f3)病院食
「ジャックダニエルのワンフィンガーでもかまいません」

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito 本名◇田中 毅 @黒月解析研究所)

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 ウマノスギゴケ先生(私の主治医、内科、長身)

 土日の休みが終わって、月曜日(8月29日)出勤してきた先生は、おそらくコンピュータ管理されている、私のカルテを読んだのだろう、私が、重湯Aの連続攻撃に対抗して、抗議の断食を行っていることを知り、朝(8時30分)私のベッドにやってきて、こう告げた。
 「重湯のことしか指示を出さなかった、私の責任です。」
 「断食明けの最初に食べる食事について問われたので、私は玄米の重湯がよいと言いました。そのあとのことは聞かれなかったので何も言いませんでしたが、もう宿便が出ているのに、いつまでも重湯を出しつづける断食道場なぞ、この日本のどこにもありません。」
 「申しわけありません。」(とはっきり言ったかどうか、記憶にありませんが、まあ、そのようなことは、素直に言える人です)
 「聴かれなかったので、分かっているものと思ってしまいました。それよりも、問題なのは、私が途中にメモでおかゆに変えてほしいとか、ごはん系のことはもういいから、野菜サラダをほしいと書いて出しているのに、これがまったく無視され続けたということです。さらには、当直の先生にも詳しく説明したのに、彼は何の行動も起こさなかった。かんたんなことじゃありませんか。私の話を聞いて理解したのなら、ただちに指示を出して、食事内容を変えてもらうだけのこと。なぜ、それだけのことができなかったのか。ここのところに、この病院の問題点があります。」
 これは私の発言なので、はっきりと記憶しています。ただし、表現そのものは、かなり要約して簡潔なものとなっています。
 驚いたのは、先生の次の発言でした。
 「食事内容を変えるよう、指示を出しますが、この時点では、まだ、今日の昼は、同じもの(重湯A)がでることになるかもしません。」
 私はあきれ返った。
 朝の8時台に指示を出しても、その日の12時の食事内容が変えられないなんて、なんという硬直したシステムなのか。
 これが公立病院のやり方だとしたら、そんなものは間違っている。
 私は断食しても死ぬようなことはないし、間に宿便を出すために2回だけ重湯Aを取ったが、家で苦しんでいて何も採れなかったときから、おおよそ、10日ほど断食している。
 もし私が生きるために、何かを食事として採らなければならない患者だったら、この病院のシステムは、その患者を殺してしまうことになるかもしれない。
 問題を軽く見てはいけないのだ。

 栄養士B(実はもうひとり、最初にあらわれた栄養士Aがいるので)

 この日の14時30分に「母、来る」というメモがあり、その横に「栄養士さん現る。ギロンす(議論する)」とある。このときの体温も記録されており、36.7℃だった。通常の日常活動の体温だ。
 母が椅子に座っていたので、この(女性の)栄養士さんは、その横に立たせたまま、私は、上記の問題点について、声を荒げて語った。
 「あなたたちは、医師の指示がないということだけで、重湯Aを出し続け、それがこの病院のルールだから、何も間違ったことはしていないと思ってきた。
 だが、あなたたちは、大きな間違いをしている。
 ここは人の命をあずかる病院なのだ。
 そのようなところでの患者の食事は、命にかかわることすらある。
 すくなくとも、患者の回復力に大きな影響を及ぼす。
 ところが、あなたたちは、再三私が出したメモを無視して、私の回復力を大きく阻害した。もし、私の病状が急変したら、いったい、どんな責任をとるというのか。」
 これだけ重要なことを語っているのに、隣で聞いていた母が、もういいではないか、というそぶりを見せて、私をけん制してくる。
 私は母にも、それなりの教えを与えなければならなかった。
 さんざん言いつくして、いいかげん疲れてきたということと、この栄養士さんに、反発などの(エゴによる抵抗の)態度がまったく見られず(実際はテレパシーなども使って感じ取るわけですが)、もう逃げ道なしのラットの状態だったので、その迷路に穴を開けることにした。
 「以前、食事に関するメモをつけておきましたね。
 そこで私は、ごちそうさまのあとに、これで、一合とっくり(徳利)に、鬼ころし(清酒の名前)がついていれば、何も思い残すことはありません、と記しました。
 実は、これに続く、次回のメモの内容も考えてあるのです。こうです。
 ごちそうさまでした。おいしかったです。
 ところで、れいの、灘の鬼ころしは手に入りましたか。
 無ければ、ジャックダニエルのワンフィンガーでもかまいません。」
 ここは病院なので、病院食にお酒が出るということは決してない。
 患者が、こっそり隠れて飲酒していれば、(聞いた話だが)即退院ということになって、治療が終わっていなくても、放り出されるらしい。
 だから、これらの私のコメントは、明らかにジョークだと分かる。
 栄養士さんの顔に色が戻った。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, September 23, 2016)

 

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