黒月樹人闘病記(m7)漫才台本/患者と看護師編「エボラウィルス」

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito 本名◇田中 毅 @黒月解析研究所)

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 はじめに

 ここで患者は、もちろん私だと思っていただいてかまいません。
 看護師のほうは、そのモデルがたくさんいます。
 このときの看護師は、そのニックネームがあって「愛嬌ナンバーワン」といいます。
 はじめ、何のナンバーワンだと思う? と聞いたら、「人気ナンバーワン」と喜びいさんで言いました。
 「それには少し枕詞(まくらことば)をつけて、自称人気ナンバーワン、だったら許す」
と、制限条件が付いたので、ほとんど使われていません。
 彼女は「愛嬌ナンバーワン」と対になって、「IQ(アイキュウ)ワーストワン」という名もあります。
 「けっきょく、プラスマイナス、ゼロじゃん」
と、自分を卑下したので
 「プラスであろうとマイナスであろうと、偏差値80を超える資質を2つも持っていることに、ほこりを持つべきだ。そんなことはなかなか、ありえない」
 「ほめられてるのか、けなされてるのか、ようわからんわ」
 「ありのままを説明しているだけだ」
 ほかにも、ユニークなニックネームをもつ、みめうるわしい看護師たちの物語もあるのですが、ここでは、それらには言及しないことにします。

 エボラウィルス

 愛嬌ナンバーワンが、私のお腹にさしこまれた細いストローのようなところから、膿まじりの肝臓の汁を、チューブで袋に誘導してあるものの、そのプール液を回収しにきた。

患者 おまえ、注意しろよ。

愛嬌 何ですか?

患者 その液の中には、エボラ出血熱のエボラウィルスが混じっているから、それに触れると、おまえも感染して、死ぬぞ。

愛嬌 (動揺して)ほんまですか?
   どうしょう。
   どこから、漏れるんやろ。

 愛嬌ナンバーワンは、5本脚の点滴スタンドの下のほうに吊るされたプール用の袋へと液を誘導しているチューブのあちこちを目視で確認しはじめた。
 あまりに真剣な、その様子に、こいつ、見事に乗ってきている、と思ったものの、その態度があまりに真剣なので、私は、ふと気がついて、大笑い。

患者 あほか。おれがエボラ出血熱の感染患者だったら、こんな地方の市民病院になんかいるか。
 おまけに、こんな4人の相部屋にいるはずはない。1人部屋で隔離されている。
 誰も入ってこようとはしないところに。

愛嬌 しもたぁ。信じてしもた。

患者 信じてしまうとは、思わなかったなあ

愛嬌 関西人や(な)のに、何も、つっこみ、入れられへんかった。くやしい。

患者 エボラ出血熱が収束して、よかったよ。
 そのために命を捧げた医師や看護師がたくさんいてくれた。

愛嬌 ほんまですね。

患者 こんな、素直なボケ、初めて見たわ。
 また、ボケてんか。

愛嬌 そんなわけにはいきません。
 だまされんように、アンテナ、ビンビン、はっておきます。

 かくして、ウィルスネタの第一回目は、このように終結したのでした。
 「オクトパスウィルス」へと、つづく
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, September 16, 2016)

 

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