黒月樹人闘病記(o16)高いコレストロール値は脳が要求したもの

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito 本名◇田中 毅 @黒月解析研究所)

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 コレストロールが下がれば健康で長生きできる?

 Grain Brain 「いつものパン」があなたを殺す [1]  
 この本は「グルテンフリーの聖典」であるだけではなく、「高いコレストロール値問題についての新たな視点」を提供するものでもあります。

 この本の第3章「炭水化物中毒」や「脂肪恐怖症」に陥っていないかに、次のような節があります。
 間違っていた事実――コレストロールが下がれば健康で長生きできる?

 ここの節のところの内容も、一般の読者にとっては、かなりむつかしいものとなっています。おそらく、著者がイメージしている対象読者というのは、この問題について、何か反論してやろうと身構えている、これまでの間違った知識に染まってしまっている、自尊心の高い、多くの医師や、その関係者なのでしょう。

 ここのところの内容は、医療分野における「最近の報告」というスタイルで始まっています。
 その「最近の報告」というのは、米国国立衛生研究所からのもので、かなり権威のあるところとなっています。個人の誰かが、ちょっと研究して、学会などで報告した、というのとは、ずいぶん違いがあります。
 その内容の中から、重要な部分だけを取り出したいと思います。

 この報告では結論として、簡潔明瞭に「高コレストロールは優れた記憶機能を伴う」と述べている。([1] p120)

 ここのところの表現は、いかにも科学分野での、お決まりの様式になっていますから、ちょっと分かりにくいかと思われます。もっと分かりやすい、私たちの通常の話し言葉に変換してみます。こんな感じです。
 「コレストロール値が高いほど、つまりは、ボケてへん、ちゅうこっちゃ。」

 このあと、パーキンソン病が低いコレストロール値と強く結びついていることが述べられています。パーキンソン病というのは、「アルツハイマー病と並んで頻度の高い神経変性疾患」(ウェブで調べました)だそうです。
 ここも言い換えてみます。
 「お年寄りで、何か神経のかげんで、うまく動くことがでけへんっちゅう病気があるやろ、そういうのを調べたら、コレストロール値が低かったんや。
 コレストロールちゅうもんは、脳みその中で重要な働きをしてるということが分かってきているし、これとあわせて考えると、脳みその中でコレストロールが不足しているから、脳みその中で、身体の動きをコントロールしてるところが、うまく働いてへんのとちゃうか、っちゅうことが考えられるわけや。
 どうや、すじみちとおってるやろ。」

 少し飛ばして、次の既述を取り出します。

 これまで私たちは、食事による脂肪のせいでコレストロールが上がり、そのため心臓疾患や脳卒中のリスクが増すと思いこまされてきた。
 この考えは19年前に行われた研究によって、正しくないことが証明されているにもかかわらず、なおも幅を利かせている。
([1] p122)

 次は、コレストロール値と高齢者の病気についての、数多くの最近の研究成果に基づいて、フラミンガム心臓研究(危険因子を是正すれば心血管疾患を予防できるというもの)に携わる研究者、ジョージ・マン博士の発言です。

 脂肪やコレストロールを大量に摂取することで心臓疾患が引き起こされる、という仮説が間違っていることは何度も示されている。
 しかし、
(ぐちゃぐちゃ書かれているので、中略)人々は今世紀最大の健康詐欺にあっている。([1] p123)

次は、信頼のおける医学専門誌「ランセット」に掲載された、オランダの研究者が、高齢者について、おこなった調査に基づく研究報告から。

 低コレストロールの人たちに比べて、高コレストロールの人たちのがんと感染症の死亡率が著しく低かった。
(かなり中略)
 つまり、高コレストロールは延命長寿のカギになるのだ。
([1] p124)

 脳の重さの5分の1はコレストロールである

 これも第3章「炭水化物中毒」や「脂肪恐怖症」に陥っていないかの節の一つです。ここのところからも、重要なメッセージを抜きだすことにします。

 コレストロールはどの「種類」であっても、これまで思い込んできたほどやっかいなものではない。
 
(中略)
 脳の重さは体全体のわずか2パーセントにすぎないが、総コレストロールの25パーセントは脳にあり、脳の機能と発達を支えている。
 脳の重さの5分の1はコレストロールなのだ!
([1] p144)

 次は著者の考えです。

 私たちは脂肪やコレストロールを「悪しきもの」と決めつける社会に生きており、巨大な製薬業界が世間に広めている情報が大嘘であることを、(私は)はっきりと伝えたい。
 その虚偽の多くが、私たちの健康を破壊しているということを。
([1] p147, 一部改訳しました)

 コレストロール低下薬「スタチン」が何を引き起こしているか

 この節では、コレストロール低下薬「スタチン」の弊害が述べられています。
 かんたんに要約すると、「スタチン」を使っている人のほうが、「二型糖尿病にかかるリスク」が、ほぼ倍増するのです。
 次の箇所も重要だと考えられます。

 2010年1月に「米国心臓病学会誌」に発表された実験により、スタチン系薬剤は死亡するリスクが高まることが判明した。
 
(中略)
 …逆に、コレストロール値が高い人たちは死亡リスクが低かった。
([1] p155)

 食事からコレストロールを摂る必要性

 この節のところの内容は、少し複雑なことになっています。
 ひとつめの要点として、次のところを読んでおくべきでしょう。

 血中コレストロールの検査をすると出てくる数値は、実際のところ75〜80パーセントは、あなたの体がつくりだしたものに由来していて、必ずしも食べたものが反映されているわけではない。([1] p156)

 それなら、コレストロールを含む食品を食べなくてもいいかというと、そういうわけでもなく、すべてを体の中で生産しようとすると、肝臓に負担がかかりすぎるということらしい。
 また、このとき、過剰に炭水化物をとると、肝臓はコレストロールを余分に作りすぎてしまい、これがやはり問題となるらしい。
 ちょっと複雑な、これらのことに関する著者の結論が、次のようにまとめられています。

 この体内の異常事態を収めるただ一つの方法は、食事から適量のコレストロールを摂取し、炭水化物を摂らないことに尽きる。
 これによって高コレストロールの患者は、コレストロール豊富な、おいしい食事を楽しみながら、薬を使わずに、正常な値に戻っていく。
([1] p157)

 低コレストロールと「うつ」の関係

 この節は、第5章心の病も頭痛も「食事」を変えれば治っていくにあるものです。
 ここのところの内容は、数々の専門誌などで、ここ30年ほどの間に報告された、低コレストロールと「うつ」の関係についてのものです。
 煩雑になるので、これらの具体的な内容について、まとめるのはやめておきます。
 かわりに著者のまとめだけを引用します。

 多くの研究によって、うつ病はコレストロール値が低い人に、はるかに多いことが分かっている。
 そして、コレストロール値を下げる薬(スタチン)を使う人は、さらに、うつ病になる可能性が高くなる。
 私は実際に日々の診療の中で、これを目撃している。
([1] p214)

 (Written by KLOTSUKI Kinohito, December 28, 2016)

 参照資料

[1] Grain Brain 「いつものパン」があなたを殺す、デイビッド・パールマター&クリスティン・ロバーグ(著)、白澤卓二(訳)、三笠書房(刊)2015年1月30日

 

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